目次
①個人の自己破産は同時廃止事件と管財事件があります
②同時廃止手続となる基準があります
③免責不許可事由がある場合は管財事件
同時廃止事件と管財事件の違い
個人の自己破産については、同時廃止事件と管財事件と二種類に分かれています。
破産手続きは債務者の債務を免責すること、債権者に対して破産者の財産を平等に分配することを目的としています。
自己破産をする破産者に財産がなければ債権者に分配をすることはできません。
このように破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めることが明らかである場合、それ以上破産手続を進める意味がないので開始決定と同時に廃止となります。
免責不許可事由(借金をした理由がギャンブルのような賭博行為の場合等)に該当するような事情がある場合、破産者の免責を許可してもよいか調査をする必要があり、管財事件として処理されることとなります。
管財事件では、裁判所に選任される管財人を中心に手続きが進められていきます。
管財人は破産者の財産を調査し、必要に応じて財産の換価を行い、債権者へ破産者の財産を分配します。
破産者が負債を抱えることになった理由等を調査し、破産者に免責不許可事由があるかどうかについての調査も行います。
管財事件の場合には免責不許可事由に該当する事実があったとしても、その他の事情を考慮して裁量による免責をすることができます。
管財人は破産者の財産や免責に関して調査した事実を報告し、免責に関する意見を述べます。
管財事件の場合には、管財人が破産者の財産や免責許可に関する調査を行うため、同時廃止手続に比べると終了するまでの期間が長くかかります。
また、裁判所から選任される管財人の報酬として予納金を用意する必要があり、同時廃止手続と比較して費用が高額になります。
そのため、破産手続の申立をするにあたっては、しっかりと破産者の財産状況の調査をする必要があります。
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同時廃止事件になる目安
破産者に財産がないことが明らかな場合には同時廃止事件として処理されることになります。
同時廃止事件は管財人による調査を行わずに手続を終了させることになりますので短い期間、安い費用で免責許可の決定を得ることができます。
破産者に財産がないことが明らかな場合とはどのような場合か東京地方裁判所の基準を説明します。
破産者に換価して20万円以上の価値がある財産がある場合には同時廃止事件にすることはできません(現金の場合には33万円以上の現金がないこと)。
例えば20万円以上の金額で売却できる自動車がある場合、合計で20万円以上の預金残高がある場合などがこれに該当します。
これは破産者が将来得る可能性があるものについても評価の対象となり、生命保険を解約した場合の解約返戻金、退職金(退職金の場合には退職金の7分の1の金額で計算します)も対象となります。
このように20万円を超える財産がない場合には同時廃止事件として扱われることになります。
裁判所に同時廃止事件として受理してもらうためには事前にしっかりとした財産調査を行う必要がありますので弁護士に相談することをお勧めします。
なお、破産者が個人事業者の場合、法人の代表者の場合には管財人による財産調査を行う必要があるため原則として管財事件になります。
免責不許可事由について
破産手続きの最大の目的は裁判所から免責許可を得て、債権者への支払を免れることにあります。
債権者は破産者が免責許可決定を受ければ大きな不利益を被りますので、特定の事由に該当する破産者については免責が許可されない可能性があります。
免責不許可事由は破産法第252条に列挙されています。
例えば、財産の損壊行為、隠匿行為、特定の債権者への返済などがこれらに該当します。
よくギャンブルによって財産を減らした(借金を増やした)場合には破産ができないと聞くと思いますが、これも免責不許可事由に該当するからです。
では、免責不許可事由に該当した場合には全てのケースで免責が認められないのでしょうか。
管財事件手続では同時廃止事件とは異なり、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責許可の決定をすることができるとされています。
これを裁量免責と言いますが、免責不許可事由の程度、破産手続に対する態度(管財人に協力的かどうかなど)が考慮されています。
弁護士に依頼したケースでは免責不許可事由に該当しても、しっかりと対応することで免責許可を得ることができます。
免責不許可事由に該当する事情がある場合には弁護士に相談してください。
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