飲食店の閉店・倒産について(初動)

目次

①原則として管財手続で進む
②従業員を解雇しておく必要があります
③営業停止日を決め、店舗の明渡をする必要があります

法人、個人問わず飲食店を経営されていた方が閉店し倒産(破産)をする場合には原則として管財事件での手続になります。
管財事件では管財人が選任され、申立に至るまでの経緯、申立時の資力等について調査がされます。
飲食店の場合には店舗の明渡など処理をしなくてはならないことも多く、弁護士と協議しながら進めていく必要があります。
店舗の閉店や破産を検討されている、詳しい話を聞きたいという経営者の方はこちらの無料相談フォームからご相談ください。
お急ぎの場合には店舗に弁護士が直接訪問することも可能です。

飲食店の破産は管財事件として管財人によって進められる

破産申立手続きには同時廃止事件と管財事件とがありますが、法人や経営者の場合には原則として管財事件として進められます。
管財事件とは裁判所が選任人する管財人のもとで、破産者の資産を調査、処分するなどし、債権者に配当が可能であれば配当する手続のことです。
管財事件において破産者が個人の場合には、破産者は自由財産として99万円以下の現金、20万円以下の預金等を残したまま破産をすることができます。
法人が破産する場合には破産手続後に閉鎖されますので、全ての資産が処理されることとなります
※管財事件の詳しい解説はこちらの記事を参考にしてください。

管財事件においては破産者にどのような資産があり、債権者への配当が可能なのかどうかを管財人が調査することになります。
飲食店の場合には適切に店舗の明渡等がなされているか、従業員への給与が払われているか等についても調査されます。
その調査で不相当な支出がある場合、管財人は受領した者から取り返すことができ、未回収の売掛金等があればこれを回収していきます。
経営者に財産の補填を求めることもありますので、閉鎖に伴う処理についてはしっかりと記録を残しておくことが必要です。

また、従業員の未払給与については立替制度を利用することができる可能性があります。
立替制度の利用には期間の制限があることから、初動対応をおろそかにすると結果的に従業員にも不利益となる可能性があります。
管財人が立替制度を利用する際に困惑しないよう賃金台帳等もしっかりと引き継ぐ必要があります。
このように管財事件では管財人に協力しその指示の下で手続が進められていきます。

従業員を解雇しておく必要があります

飲食店を閉店する場合には従業員を雇用し続けることができませんので、従業員との雇用契約を解除(解雇)する必要があります。
これまで業務に貢献してくれた従業員の方々を解雇することは心苦しいかもしれませんが、決断が遅くなれば賃金立替制度が使用できないなど従業員の方々にかえって迷惑をかけてしまうという可能性もあります。
従業員が新たなスタートをすることができるようにしっかり説明し、サポートすることが従業員のためにも大切です。

店舗を閉店する場合、まずはいつまで営業を続けることができるのかという問題があります。
店舗の営業をするのに従業員の協力が必要な場合には営業停止日をもって従業員を解雇することになりますので計画的に決めておく必要があります。
本来解雇は解雇する30日前に予告をしておく必要があり、解雇予告から実際の解雇日まで30日に満たない場合には予告手当を支払わなくてはなりません。
解雇される従業員のことを思えば転職活動をするにしてもなるべく早く告知してあげるほうが望ましいでしょう。

また、使用者は事業所の閉鎖等に関して各役所へ届出をする義務があります。
社会保険については年金事務所、雇用保険について労基署、住民税等については各自治体にと様々な手続をしなくてはなりません。
特に雇用保険については解雇された従業員が失業手当を受領するために必要な離職票の発行などの処理は優先的に行ってください。

従業員の未払給与については、破産手続上において一部は優先的に配当として支払われることがあります。
従業員からすれば、急に解雇されて給与も支払われないとなれば生活が困窮するという方もいるでしょう。

しかしながら、従業員に強く詰められて、給料を払ってしまったというケースは後々問題になることもあり得ます。
破産手続においては他の債務との兼ね合いや破産者の資力によっては従業員であっても優先して支払ってはいけないケースもあるからです。
本来支払ってはいけない債務を支払ってしまった場合、管財人からの指示で破産者(法人の場合には代表者)にその分の補填を命じるという可能性もあります。
従業員に強く求められたとしても、安易に支払ってしまうのは非常に危険ですので弁護士にご相談ください。

店舗の明渡と営業停止について

店舗を賃貸(レンタル)している場合、店舗内の物品を処分してオーナーへ明渡をする必要があります。
明渡予定日には店舗内の物品を整理しておく必要がありますので、明渡日から逆算して営業停止日を決めておく必要があります。
店舗の明渡以降は、従業員を雇用し続けておく必要もありませんので、従業員の解雇日を決めるためにも明渡予定日を定めておくことは必要です。

また、破産手続を行うことを決めてから後は店舗の賃料であっても他の債権者に優先して支払うことは原則として許されません。
店内の在庫がある場合、申立費用を確保するために限界まで営業を続ける必要がある場合などの例外的な場合を除いて、賃料の支払も一切止めることになります。
飲食店の場合には営業を継続する場合に見込める売上を考慮する必要がありますので、営業停止日を悩まれている経営者の方は弁護士と相談しながら進めていきましょう。

上記のように破産を決意した後は賃料の支払も原則的に止めることとなりますので、速やかに退去することがオーナーにとっても利益となります。
店舗内に在庫や機械類が残置されたままでは明渡はできませんし、換価価値のある物品(業務用冷蔵庫、テーブルや椅子などの家具など)は売却しておく必要があります。
これらの処理については申立を依頼する弁護士と協議して検討する必要があるでしょう。

飲食店の閉店・倒産は専門家である弁護士に相談ください

ここに記載したのはあくまでも最低限行う必要のある事項です。
資力状況や債権者が動いているかどうかによっても判断が異なる可能性がありますので、ご不明な点があれば専門家である弁護士にご相談ください。
弊所では無料の法律相談を行っており、多くのお問い合わせをいただいております。
なるべく迅速に対応させていただきますのでぜひご相談ください。

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